今月のインプラント関連の最新論文
【 佐藤 琢也 記 】
デンタルインプラントセンター大阪では毎月、インプラントと歯周病に関連する最新英論文を翻訳する勉強会が開催されております。
今月はインプラントを学ぶ歯科医師の先生向けに下記の論文を紹介させていただきます。
サポーティブセラピーのインプラント周囲炎やインプラントの喪失への予防効果 -システマティックレビューとメタ分析-
Title :The effect of supportive care in preventing peri-implant diseases and implant loss: A systematic review and meta-analysis.Author :Lin CY, Chen Z, Pan WL, Wang HL.
Journal:Clin Oral Implants Res. 2019 Aug;30(8):714-724.
PURPOSE
インプラント治療後のsupportive therapy(SPT)実施の有無が,インプラントの生存率(SR)やインプラント周囲炎等の発症に及ぼす影響を,システマティックレビューとメタ分析の手法により検討する.
MATERIALS AND METHODS
2名のレビューアーが,Pubmed/MEDLINE,
EMBASE, Cochrane Central databases,からインプラント治療後のSPTのプロトコルが明確で,なおかつ一年以上の術後経過を評価している比較臨床試験を集積.SPT実施群とSPT無実施軍(non-SPT)の,SR,インプラント周囲炎,インプラント周囲粘膜炎の発症に関連するrisk ratio (RR)のメタ分析を行った.また,潜在的交絡因子をメタ回帰分析にて抽出することを試みた.
RESULTS
795 の報告から9つの比較臨床試験が抽出され,メタ分析が行われた.
・SPT群のSRはnon-SPT群より統計学的に有意に高い.RR:1.10
・SPT群のインプラント周囲炎の発症率はnon-SPT群より統計学的に有意に低い.RR:0.25
・SPT群のインプラント粘膜炎の発症率はnon-SPT群より統計学的に有意に低い.RR:0.57
・本研究のデータからは,SR,インプラント周囲炎の発症率と,SPTの頻度,薬剤の使用などの交絡因子の抽出や,辺縁骨の吸収量,CAL,PD, BOP, Plaque Index Score等の臨床データとの量的な相関性について,統計学的な相関を見出すまでには至らなかった.