今月のインプラント関連の最新論文
【 佐藤琢也 記 】
デンタルインプラントセンター大阪では毎月、インプラントと歯周病に関連する最新英論文を翻訳する勉強会が開催されております。
今月はインプラントを学ぶ歯科医師の先生向けに下記の論文を紹介させていただきます。
天然歯の辺縁骨の内壁性欠損に対して,0.3% rhFGF- 2(リグロス®)を単体と,脱タンパク牛骨ミネラル(Bio-Oss®)との混和による使用との比較 -6ヶ月の観察期間のランダム化比較試験-
Title :Treatment of intrabony periodontal defects using rhFGF-2 in combination with deproteinized bovine bone mineral or rhFGF-2 alone: A 6-month randomized controlled trial.
Author :Saito A, Bizenjima T, Takeuchi T, Suzuki E, Sato M, Yoshikawa K, Kitamura Y, Matsugami D, Aoki H, Kita D, Imamura K, Irokawa D, Seshima F, Tomita S.
Journal:J Clin Periodontol. 2019 Mar;46(3):332-341
PURPOSE
天然歯辺縁骨の内壁性欠損に対して,0.3% rhFGF- 2(リグロス®)単体と, 脱タンパク牛骨ミネラル(Bio-Oss®)を混和して用いる再生療法を比較するため,6ヶ月の観察期間のランダム化比較試験を行い評価する.
MATERIALS AND METHODS
本研究では天然歯辺縁に骨欠損を有する歯周病患者を被験者とする「前向き」で,「平行群間」の「ランダム化比較試験」であり,東京歯科大学水道橋病院と,千葉病院にて実施された.合計44部位の内壁性骨欠損を有する患者32名が集められ,ランダム化割付により2グループ(それぞれ22部位,16名の患者)に振り分けられた.骨欠損部へのアクセスはCortellriniらによるpapillae preservation techniqueに準じ,根面のディブリードメントの後に,
▪ control群:0.3% rhFGF- 2(リグロス®)単体
▪ test群:0.3% rhFGF- 2(リグロス®)+deproteinized bovine bone mineral(Bio-Oss®)混和を,骨欠損部内に填入した.
術後3ヶ月と6ヶ月後に, CAL, PPD, BOP, gingival recessionなどを測定し,また,規格化されたデンタルX線診査により骨欠損部のradiographic bone fillを算出して比較した.
また,患者の初診時から術後6ヶ月の患者のQoLをOHRQL scoresを用いて評価した.
RESULTS
・test群,control群ともに,術前と比較して,CALの上昇が統計学的に有意に示された.
(test群:3.16 ± 1.45 mm,control群:2.77 ± 1.15 mm),また,PPD,BOPも有意に減少した.一方で,gingival recessionについては術前,術後に有意差は認められなかった.
・test群とcontrol群との比較において,各項目に有意差は認められなかった.
・radiographic bone fillはcontrol群にて有意に回復した.(test群:47.2%,control 群29.3%).
・OHRQLによる患者の主観的なQoLは術後に上昇したものの,群間の有意差はなかった.
DISCUSSION & CONCLUSION
0.3% rhFGF- 2(リグロス®)はジェル状であるがゆえに単体では填入後の骨欠損部のスペースの維持が困難に思える.したがって,再生療法ではその材質が不利に働くように予想されたが,本研究ではDBBMとの併用例と有意差のない臨床的な成果が得られた.
POINT OF CRITICISM
radiographic bone fillの比較については言わずもがなであるが,OHQRLの平均の比較は正当か?