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今月のインプラント関連の最新論文

【 佐藤琢也 記 】

デンタルインプラントセンター大阪では毎月、インプラントと歯周病に関連する最新英論文を翻訳する勉強会が開催されております。
今月はインプラントを学ぶ歯科医師の先生向けに下記の論文を紹介させていただきます。

歯槽頂アプローチによるサイナスリフトにおいて骨移植を行わなかった場合のインプラントの予後
Title :The effect of transcrestal sinus-floor elevation without graft on the long-term prognosis of maxillary implants
AuthorRammelsber, Samuel Kilia, Christopher Büs, Stefanie Kap
JournalJ Clin Periodonto2l.0 20;47:640‒648

PURPOSE
上顎臼歯部と犬歯部に埋入されたインプラントの長期経過において,既存骨に埋入された場合と,歯槽頂アプローチによるサイナスフロアエレベーション(以下TSFE)を併用した場合との生存率を比較検討する.

MATERIALS AND METHODS
2003年から2018年までの間,一施設にて埋入された1322本のインプラントの後ろ向き研究.648本のインプラントが骨補填を伴わないTSFEによって埋入され,674本は通法に従い既存骨にインプラントが埋入された.すべてのインプラントの長径は10mmに統一されていた.

❐術前のX線診査
X線撮影用テンプレートに7mmのピンを填入してパノラマX線撮影を行い,上顎洞底までの既存骨の実寸値を計測.既存骨の高さが得られず,10mmのインプラントが埋入できないと診断されると,TSFEを併用してインプラントを埋入することとした.

❐外科術式
X線撮影時に用いたテンプレートをインプラント埋入用のテンプレートとして用いた.TSFEを行う場合は上顎洞底の1mm手前にまでパイロットドリルを進め,オステオトームテクニックにより上顎洞を挙上した.上顎洞粘膜の穿孔の診査は,インプラントデプスゲージによる粘膜の弾性の感触によって判断された.インプラントの埋入はすべてハンドラチェットによって行われ,埋入後,補綴処置までには6−9ヶ月の治癒期間を得た.(既存骨のみに埋入されたケースはcontrol群)

❐統計
TSFEとcontrol群のインプラントの経時的な生存率をカプランマイヤー曲線にて比較し,両者の
生存曲線の有意差をLog-rank testをもちいて検定した.また,Cox回帰分析によって生存率に影響を与えうる複数の因子の抽出を試みた.

RESULTS
カプランマイヤー生存曲線によるインプラントの10年生存率はTSFE群:93.7%,control群:92.9%で統計学的有意差は認められなかった.
一方,TSFE群の中では既存骨の高さが1−3mmであった症例での10年生存率は77.4%であり,4−6mm(95.7%),6mm以上(97.6%)と比較して統計学的に有意に低い値であった.TSFEのメンブレンの穿孔により10年生存率は減少したが統計学的有意差は認められなかった.

DISCUSSION & CONCLUSION


骨補填を行わなくともTSFEだけで,既存骨に埋入される臼歯部のインプラント症例と変わらない長期の生存率が期待できる.しかし,既存骨が3mm以下の場合はその限りではない.

POINT OF CRITICISM
メンブレンの弾性によって穿孔を判断できるという根拠は示されなかった.これによりCox回帰分析の結果が変化した可能性は否めない.

TOPIC OF CONCERN 4,13, 17

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